UPLINKで上映されていた佐々木誠監督の新作『INNERVISION』を観てきました。
「視覚障害者がアクション映画を撮る」という内容が軸になりながら、
視覚障害者の視点"そもそも2次元って何?"みたいなコトも含めて展開するドキュメンタリー作品。
眼の見えない加藤秀幸さんが第一線で活躍するクリエーターに
助言を乞いアクション映画を制作する過程を追っている。
身体障害者と健常者を大胆に対比させ
どっちがマイノリティなのかを観ている人達に提示してみせた
『マイノリティとセックスにおける2、3の事例』も面白かったので
今回も何か仕掛けがあるのだろうと思いながら観てしまった。
色々と考えさせられる映画だった。
毎回、観た後は肉体的にも精神的にもグッタリする。
カメラがよく揺れるので前列で見ると目まぐるしくて
しっかり寝てないとカメラ酔いする。
(今回は揺れが少なかったけど)
以前、仕事で撮った映像作品を見たコトがあるけど、
本当はカメラはかなり上手です。
(まぁ、プロを捕まえて上手とか失礼なんだけど。。)
あえて、素人っぽい撮り方をしているのも、
作品のコンセプトに合わせているのがよく解る。
テーマも挑戦的だから、
『マイノリティ~』を母親に最初に見せた時、えらく憤慨してしまい、
理解するのに時間がかかったのを覚えている。
まぁ、それだけ心に残るモノがあるということなんだろうね。
「ドキュメンタリーって何?」っていう定義を
いつも観客(特に映像制作者)に突きつける。
そのスタイルはまっとうなドキュメンタリーを撮っている人達からすると
作為的な試みに見えるし、「真面目にやれ」と反感を買うかもしれない。
でも、誠君のスタイルも他のドキュメンタリストと同じく、何度も取材を重ね、
被写体との関係性を深めている事に変わりはない。
なら、まっとうなドキュメンタリーもカメラを向けた時点で
本当のリアルではないわけで、
王道を自称しているあんたらもドキュメントしてないじゃんという考えも
解らなくもないよね。
被写体に決して同情はしてないけど、
目線が被写体と同じ方向をみていたりする。
今って報道の人達がやりがちな「偏った視点」の造り方に
撮られる側もウンザリしている人もいるんだよね。
(これ、ホント)
偏った報道をするメディアより
遥かに真摯に被写体と対峙している気がしました。
『INNERVISION』は渋谷UPLINKで今週金曜日までなので、
御興味ある方は是非観てみて下さい。
上映後のトークショーも必見です。
http://sasaki-makoto.com/film.html
http://www.uplink.co.jp/movie/2013/8295
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