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2014年6月4日水曜日

牧歌的なNYが観たいなら

コーエン兄弟の最後の作品といわれている『インサイド・ルーウィン・デイヴィスー名もなき男の歌ー』を観てきた。

舞台は1960年代のNY。
伝説のミュージシャン、デイヴ・ヴァン・ロックをモデルにした話で
腕はあるけど運がない主人公の話。
「伝説の~」って映画の紹介にもあったけど、つい最近まで生きていた人なんだってね。
知人、友人、恋人の家を転々としながら音楽活動を続ける姿と
淡いグレーに近い色調の落ちた画造りからは
悲惨な状況ながらもどことなくユーモアを感じさせる内容になっていた。

『ドライブ』で強面のダメ夫を演じていたオスカー・アイザックが
今度は歌やギターは上手いが何とも情けない主人公を演じていて、
降り幅の凄さに驚いた。
共演には、キャリー・マリガン(同じく『ドライブ』でも共演)、ジャスティン・ティンバーレイク、
そしてコーエン作品ではお馴染みのジョン・グッドマン。
出演者が演奏したり歌うシーンは吹き替えなしで撮られていて、
これが皆歌が上手いのね。
J・ティンバーレイクは音楽活動をやってるし、主役のオスカー・アイザックも
音楽活動をやってた(ジュリアードを出ているらしい!)から解るけど、
キャリー・マリガンもかなり上手い。
そして、ライブで録った音質がとても綺麗だった。
演奏シーンは「マイクとかどこに仕込んだのか」とか
「切り返しショットの時はどうやって音が途切れない様にしているのか」とか
気になって仕方なかった。
っていうくらい違和感nothing。

話の展開はゆっくり目で寓話的なシーンが入ってきたりして
主人公のゆるさと同じテンポで物語は進む。
話がだれそうだなって感じた頃に小ネタを入れてきて笑わせたり驚かせたりと
さすが巨匠、解ってらっしゃる。

NYの街並も印象的だった。
先日行って来たから余計に目に付いたのかもしれないけど、作品の風景とNYの郊外って、そんなに雰囲気変わらないのね。
bedford以外は作品の様な建物が多かったな。
インターホンで呼び出すシーンやアパートの入り口、そこかしこにありそうだった。
(もちろんプロダクションデザインの方が色々と手入れしていると思うけどねw)
NYの知人に聴いたけど、ヨーロッパからの移民が造った住居を
彼らが居なくなったあと移住してきた人達がそのまま使っているのだそうだ。
おまけに地震も殆どないので倒壊することもないので、
今の建物がそのまま使えるというね。
日本だと年代を感じさせる作品はCGに頼ることが多いけど、
昔の建物が残されているとこういう作品はとてもやり易いね。

ラストのあっけなさに肩透かしを喰った感じもしたけど、
ルーウィン・デイヴィスの音楽人生がその後も続いてくであろうから物語もエンドマークを付けなかったって事なんですかね?
そういえば最近観た『アデル ーブルーは熱い色ー』でも似た様な終わり。
両者とも去年のカンヌの受賞作品。
最近の傾向?もしくは審査員の趣味?なんて思いながら劇場を後にしたのでした。

そんなこんなで『インサイド・ルーウィン・デイヴィスー名もなき男の歌ー』、
少しノンビリしている牧歌的なNYが観られます。
ご興味ある方、劇場に行ってみて下さい。


詳細はこちら。

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