2014年6月26日木曜日

芸術作品を造るには、やはり"戦士"が必要なんだね。

『ホドロフスキーのDUNE』を観てきました。
『DUNE』と言えばデビッド・リンチが監督して賛否が大きく分かれたという作品。
元々はホドロフスキーが企画していて、
紆余曲折あって実現しなかったという経緯がある作品。
そんな『DUNE』が如何にして頓挫したのかを回想するドキュメンタリー映画。

ホドロフスキーと言えば『エル・トポ』や『ホーリーマウンテン』といった作品で
コアなファンを集める映画監督。
20歳くらいの時に観た時は難解過ぎてよく解らなかったけど、
強烈なイメージが記憶に残ったのを覚えている。

その2作が欧米で大ヒットして次に選んだのが『DUNE』という
フランク・ハーバートのSF小説。
読んだこともないのに決めちゃったという下りから、
いかにホドロフスキーが勢いがあったかと言うのが伺える。

この一大SF巨編の為に一流のキャスト、スタッフを集める。
ホドロフスキーは彼らを"戦士"と呼び志を共有しながら、
企画を進めていく。
監督が気に入った人達というのもあると思うけど、
関わるスタッフ、キャストには技術より芸術性や志を重視する。
その為に、世界中、どこであろうと、一人ずつ自ら交渉に行ってるのね。

その過程をまるで去年あったことかの様に喋る、喋る。
気がつくとカメラ目線、おまけにパントマイム仕込みのオーバーリアクションなので、
観ている観客に話しかけられている様な気分になってくる。

こういうエネルギッシュな人に引き寄せられる様に集まる人達の気持ちが解る気がしましたね〜。

メキシコ時代のこと、デビュー作のことも語られていて、
映画造りなんて全く無知な状態で始めたって言ってたけど、
『DUNE』の頃にはもの凄く詳細な画コンテを造っていたのが印象的だった。
画コンテだけで一冊の辞書みたいになってたしね。
哲学的な作品を造っているのと裏腹に作品の下準備の緻密さは凄かった。
それだけでも、実現したら凄い作品になっていただろうなと思わせる。

そんな作品が実現に至らなかったのが
資金でもキャストでもスタッフでもなくホドロフスキーを
ハリウッドの映画会社の人達が恐れていたからというのが
何とも皮肉な結末。

そうして企画は中止となるけど、膨大なアイデアは他の映画で引用され、
スタッフは『エイリアン』やキューブリック作品で活躍し、
『DUNE』で培われたエッセンスが色んなところに流用されていく。
そんなコトを考えてみると「世界を変えようと試みた映画『DUNE』」は
現世では夢だったけど、世界は変わったのだと考えることも出来る。

そんな落としどころにホドロフスキーの「失敗を恐れるな」と
カメラに向かって熱く語る言葉が胸を打つ。
これはクリエーターのみならず、どんな人にも共感出来るシーンだな。

そして、今回のドキュメンタリーがきっかけで
半ば決裂状態になっていたプロデューサーと劇的な再会を果たす。
その縁で来月公開のホドロフスキーの新作『リアリティのダンス』が
造られることになったというのも運命的な感じがします。

『DUNE』を巡るエピソードは他にも劇中で沢山語られるけど、
そんなこんなも是非劇場で観て頂きたい作品です。
かなりおススメです。

詳細はこちら。

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