2013年12月26日木曜日

罪と罰の映画

『かぐや姫の物語』を観てきました。

予告編を観てウルッときちゃう歌声に興味をそそられてましたが、
内容はそんなセンチな作品ではなく、
これでもかと運命に翻弄されるかぐや姫を描写する、
シビアな作品だった。

日本人なら殆どの人が知っているであろう「竹取物語」における、
かぐや姫の罪と罰って何?ってのが作品のテーマなんだけど、
転じて我々のコトにも置き換えられるというのが、
身につまされる様な想いになるというか。。

そんなこんなも膨大な時間とお金とエネルギーを費やした
水彩画タッチのアニメーション表現なくしては、
なし得なかったというのが誰が観ても解るというのが凄い。
どの人もビジュアルが凄いってのは納得するよね。

日本最古のお話というコトで当時のしきたり(お歯黒や求婚のシーン等)の描写も出てくるのに、
そこに描かれているモノは、現代社会でも通じる様な普遍的な内容だったし、
そして、割と女性的目線から語られている事が多かったね。
ラストの問答無用な感じも現実に置き換えると
その通りだよねと思えてしまうというか。
とにかく、画の凄さ同様に納得させられてしまう、
作品の世界観の力強さがありました。

カラッと楽しい作品もアリだけど、
深く考えさせられる作品もなかなかありません。
劇場では泣いている人が結構多かった。

ご興味ある方、是非是非観に行ってみて下さい。
かなりおススメです。

詳細はこちら。
http://kaguyahime-monogatari.jp

2013年12月25日水曜日

ファンというのは良いも悪いも好きなもので。

有楽町のシャンテシネにてジム・ジャームッシュの新作、
「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ」を観てきました。
殺し屋もの、ロードムービー、西部劇と最近はジャンル映画が多いジャームッシュ。
劇場も観客こそ少なめだったけど、映画愛好家って感じの人達が多かったです。

今回はヴァンパイアものだったけど、
これまで造られてきた他の吸血鬼作品とは違って、
血を吸うシーンはなく病院などで秘密裏に血液を購入したりと
現代的なシチュエーションに置き換えられているところが
相変わらずといったところだった。

主演の2人が何百年も生きてきて、
くっついたり離れたりして暮らしながらお互いに距離感を保って
関係を続けている。
その辺の理由が語られないのは相変わらずという感じ。

主演の2人、トム・ヒドルソンとティルダ・スウィントン。
全編を通じて、ティルダ・スウィントンが美しく、
人間離れした感じが際立ってました。
ジャームッシュの『ブロークン・フラワーズ』や『リミッツ・オブ・コントロール』にも
出ていたけどその時とは容姿も雰囲気も全然違う。





写真真ん中がティルダ・スウィントン。
この時、50歳。カッコいいわぁ。。。
ちなみに一番左がジム・ジャームッシュ。この人も20年前から殆ど顔変わってないね。

とまぁ、ティルダ・スウィントンの魅力だけで1300円くらい回収出来るなんだけど、
一方でお話として長い感じが否めなかったのが残念。
これまでも起伏のない作品が多かったけど、
役者の面白さや画的なかっこよさで観る事が出来た過去の作品とは違って、
妹の登場を予見させるコトで内容を引っ張っただけに、
登場までの時間が長く感じた気がします。
総尺が123分だけど90分で十分な気がする。
妹の登場も引っ張った割には興味をそそる雰囲気がなかったのもね。。

あと、気がついたのは何かの行動やリアクションを
台詞で補っているシーンが多かったのだけど、
ちょっとクドい感じもしたなぁ。
過去のジャームッシュ作品ってこんな感じじゃなかったような気がしたんだけどなぁ。

と、好きな部分、嫌いな部分色々あるけど、
全編通じての夜間撮影は素敵だし、
デトロイトの廃墟やタンジールの街など
耽美かつオリエンタルな魅力が多々あるシーンが多いので、
なんだかんだ言って嫌いになれないジャームッシュ作品でした。
多分、DVDリリースされたら借りちゃうんだろうな(笑)

という訳で気になる方は、長期公開はないと思うので(多分)
是非、観に行って観て下さい。
詳細はこちら。
http://onlylovers.jp

2013年12月22日日曜日

T2 Movie selection vol.263

僕の村は戦場だった(1962)
IVANOVO DETSTVO


IVAN'S CHILDHOOD

監督:アンドレイ・タルコフスキー
原作:ウラジミール・ボゴモーロフ, ミハイル・パパワ
脚本:ウラジミール・ボゴモーロフ, ミハイル・パパワ
撮影:ワジーム・ユーソフ
音楽:ヴァチェスラフ・オフチンニコフ
出演:コーリャ・ブルリャーエフ, ワレンティン・ズブコフ, E・ジャリコフ, ニコライ・ブルリャーエフ

幻想的じゃない頃のタルコフスキーの作品。
水の描写など後に語られる要素がありながらも、
ストーリーテリングの上手さも目立つ。


2013年12月20日金曜日

久しぶりに舞台を観に行くの巻。

TOOWAII作品にも出演してくれた古山さんが所属する劇団、
モダンスイマーズの舞台に行ってきました。
その日の夕刊で紹介されていたのでビックリしました。
しかも、評価も結構高めに書かれている。予想通り劇場は満席。
なんだかメジャーな感じ。。。

震災後の被災地の話で、
少女がその家から去る過程を回想形式で描く。

多くの日本人が直面しているであろう、
"震災によって変わってしまった考え方やコミュニケーション"のズレが
よく表現されていた。
被災地じゃなくても、こういうコトあるだろうなぁというのが
丁寧に描かれてた。

重い題材なのに間とかセリフ回しが
どこかおかしくて自然に笑いが起こってました。

演劇的な面白さって独特なものがあるね。
映像になると違った捉え方になるんだろうなと思いながら観てました。

劇中で使われていた映像も
物語を補足する様に効果的に使われていて、
色々と語りたくなる要素が沢山ある作品でした。

公演は22日までだそうです。
ご興味ある方は是非チェックして観て下さい。
詳細はこちら。

http://www.modernswimmers.com

2013年12月16日月曜日

"リアル"って時代によって違うね。

草月ホールにて1日限定で上映していたロベール・ブレッソンのデビュー作、
『罪の天使』を観てきました。
映画史の中でも特異な存在のブレッソン映画のデビュー作というのと
会場が草月ホールというのもあって、
お客さんの年齢層も高く上映前もやれタルコフスキーがどうしたとか、
ブレッソンの他の作品とか知的レベルの高い会話が聞こえてきました。
当然のコトながらマナーも良いという。
そりゃそうか。なってったってブレッソンだからねー。

内容は、修道院にて熱心に信仰に励む女性が巻き起こす諍いと
もう一人罪を犯してその償いの為に入信する修道女、
そしてその修道女が入信する前に犯した殺人事件が
物語の軸になった作品。
主人公の修道女、アンヌ・マリーの真っすぐな純粋さが暴走し、
それに周りが違和感を覚えていくという構成は、
古典的だけどそれだけでドラマになる要素に思えた。

ブレッソン監督の作品は、
冷徹な目線、素の演技が特徴的と評論文とかで見かけるけど、
デビュー作『罪の天使たち』はそれがまだ顕著ではないように思えた。
影を使った演出、霧がかった夜道のシーン、そしてよく動くカメラ。
それらは劇映画として成立する要素のような気がした。
まぁ、これはこれでカッコ良かったんだけど。

作品が造られた1943年当時は画の質感や演技等、
この時代では成立していた"リアル"というコトなのかもね。
今なら"リアルを感じさせる画"って言ったら、
IphoneとかIpadの画質じゃないかな。
でも、instagramみたいなアプリで日常を
捉えている人も多いから、
リアルというよりファンタジックな画の方が多いか。
ってなると、ビデオカメラが一番リアルか。。
演技はどうだろう、、「あいのり」的な感じ?

あと、気になったのは、画面。
サイズが4:3のビスタサイズだったので、
スクリーン上でトリミングしていたんだけど、
サイズが合ってなくて画面の端が切れていた。
どうせならこういうところも気を使った欲しいなと。

そんなこんなで"その時代に合ったリアル"というのを
考えずにはいられない一品でした。


R・ブレッソン作品、他の作品は未見なのでチェックしてみようかな。

2013年12月5日木曜日

地球に落ちてきた男の歌声から手書きアニメまで。

Louis VuittonのCMにDavid Bowieが出演してた。



『マリー・アントワネット』を思わせる晩餐会の格調高い感じの造りになっていながら、
どこかPOPさを感じさせる作品。
気球の炎が燃え上がるところでカットとか赤の使い方が好きな感じ。

僕のDavid Bowie体験は音楽ではなく
『地球に落ちてきた男』の宇宙人や『バスキア』のアンディ・ウォーホル、
はたまた『Everybody Loves Sunshine』でのギャングのボスといった映画が最初だったので、
歌声には馴染みはないのだけど、歳をとっても残る声の透明感とか
聴き応えがあるね。



メイキングも同時にUPされてて1:30程の作品に凄い労力がつぎ込まれているのが解る。



関連動画に上がってたlouis vuittonのshort film
こっちはグラフィカルな構成でMV的なアプローチ。
色数少ないんだけど、どこかPOPさを感じさせる




こんなのも見つけた。
こちらは手書きアニメ的なアプローチだけど、
センスよく3DCGも使っててコレも好きな作品。

Louis Vuittonって格調高いハイファッションなイメージしかなかったけど、
Short Filmは尖ったことをしてて良いね。

ヒルズグミ

と言ってもIT系の話ではなく。

TOHOシネマズ六本木ヒルズの売店にあるグミが
異様にデカいコト、誰か知ってる?

写真も撮り忘れてしまったのだけどかなりのサイズ。

ここまでデカいグミを観たことがないので、
興味ある人、映画観に行くついでに行ってみてみて。
味はそこそこなんだけど(笑)

最近、こういうコトはTwitterやFacebookで書いてしまうので、
久しぶりにブログで書いてみた。
という、割とどうでも良いブログでした。


2013年12月2日月曜日

I could watch this video on youtube at last.

成都から帰ってきて、ずっと気になっていた映像を
ようやくyoutubeでチェックすることが出来た。



96Magazineというマレーシアのファッション誌が制作したvideo clip。
色使いやモデルのレイアウト、音楽がエレガントでシュール。
結構トリッキーなコトをやってて僕好み。
こういう感じなら3Dもありだな。

日本で言ったら、Enlightmentみたいな感じ?。
Malaysia主催のPARTYで一度観たっきりで、
再び見ることが叶わないと思っていたけど、
やっぱ探せばあるもんだね。
便利な世の中になったなぁとしみじみ。

2013年12月1日日曜日

T2 Movie selection vol.262

うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー(1984)
Urusei Yatsura - Beautiful Dreamer

監督、脚本:押井守
演出:西村純二
製作:多賀英典
企画:落合茂一
原作:高橋留美子
キャラクターデザイン:やまざきかずお
作画監督:森山ゆうじ
特殊効果:さいとうたけし
美術監督:小林七郎
美術設定:小林七郎, 森山ゆうじ
撮影監督:若菜章夫
編集:森田清次, 坂本雅紀, 宮内希美子, 河野淳子
音楽監督:早川裕
詩:三浦徳子
音響監督:斯波重治
編曲:清水信之
音楽:星勝
タイトルデザイン:杉澤英樹
歌:松谷祐子
曲:松田良
声の出演:平野文, 古川登志夫, 神谷明, 杉山佳寿子, 島津冴子, 鷲尾真知子, 田中真弓, 千葉繁, 村山明, 野村信次, 二又一成, 緒方賢一, 佐久間なつみ, 池水通洋, 安西正弘, 西村知道, 永井一郎, 藤岡琢也

「もしもこの世界が造られたものだとしたら」的な設定からの
夢オチ映画。

エッシャーの絵画の様な構図もその不可思議さを際立たせているのと、
爆撃シーンや世界の外側の設定の奇抜さなど見応え十分で、
ラムちゃんが可愛いだけじゃない作品。