2013年9月16日月曜日

色彩感覚豊かな恋愛のお話。


先日、新宿のシネマカリテにて『わたしはロランス』を観てきました。
台詞のみのモノローグに黒文字ピンクの影という
デザインではなかなか使わない色使いで始まる冒頭。
最初から尖った内容が観られるんじゃないかなと思わせるグラフィック。

内容は、トランスジェンダーの男の人と
それを受け入れる恋人との10年間の話。

全編、とにかく綺麗な映像が多かった。
監督、脚本のみならず編集や衣装を兼任した
監督のセンスに寄るものだと思うけど、
登場人物やその背景の色使いがとてもオシャレでした。

その上、ただオシャレな映像なだけじゃなくて
メロドラマ形式ながらも人物がしっかり描けていたので、
感情移入がしやすいという。

主役の男性の「性の不一致」への表現や、
恋人役の女性が可愛くないんだけど
観ている内に段々とチャーミングにみえてしまう描写など
とにかく描き方が上手だった。

音楽も映像とぴったりと言うか、
よくコレ探してきたねってくらい、
古今東西の曲が絶妙なタイミングで入ってくるのが印象的でした。
多分、サントラでないと思うけど、
調べて買いたい曲がいくつもありました。

登場人物の内面を表すかの様なイメージカットや
FIXの時のシンメトリーな構図、最近では珍しいビスタサイズ等、
尖ったセンスをそこここに垣間見ることが出来ました。
この監督、これで24歳っていうんだから凄い才能の持ち主だよね。
やっぱ色々と兼任して作品に関わる人は
自身の世界観を色濃く投影させやすいのかもね。

168分と長い映画だけど、
その長さを感じさせない構成とテンポ。
とにかくお勧めな作品です。

トランスジェンダーという繊細なモチーフながら、
描き方はとても大胆なので共感出来る所は
一般の人も多い筈です。

ご興味ある方、是非観に行ってみて下さい。
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