2013年6月30日日曜日

VJが紹介したい映画 vol.248

海賊版=BOOTLEG FILM

監督、脚本:小林政広
製作:小林政広, 山本充宏
撮影:佐光朗
編集:金子尚樹
音楽:高田渡
主題歌:高田渡
出演:柄本明, 椎名桔平, 舞華, 中野若葉, 高仁和絵, 環季, 北村一輝

男二人と車と拳銃だけで映画を造った感じの作品。
オフビートな雰囲気とモノクロームの映像、黒みの繋ぎが
ストレンジャー・ザン・パラダイスを思わせる。

雪原をモノクロームで撮ると画がパッキリするね。


2013年6月29日土曜日

文化村ル・シネマにて。

キム・ギドクの新作『嘆きのピエタ』を観てきた。
3年間の自身の苦悩を画面に焼き付けた前作『アリラン』以来の新作ということで、
観る前から楽しみな作品でした。

内容は、
借金取り立て業をしている天涯孤独の男
ガンドの所に自分が母親だと名乗る女ミソンが現れる。
男も最初は信用しなかっただったけど、
彼女の真摯な姿勢に、彼の態度も徐々に軟化していき、
親子の関係が芽生え始めころ、驚愕の事実が明らかになるという展開。

どこか非日常めいている設定や、細かい説明描写が少ないコトで
展開が気になってしまう語り口は今回も健在。
反面、以前の作品と比べて暴力描写が抑えめになっていて、
音響効果や見せ方で直接描写を避けている印象がありました。

低予算だったという事で少ない撮影日数と
撮り方なども迅速に行っている感じがしました。
ただ、少し雑な印象もあった気がします。
ラフに撮ったという言い方が正しいのか。

ラース・フォン・トリアー作品をはじめ
他の作品でもライブ感のある撮り方を多用する人をよく見かけるけど、
これって好き嫌いのある撮り方かなって思います。

内容、撮り方と色々と自分のやり方と照らし合わせて勉強になる部分も
多かったので、やはり観ておいて良かったかな。

という感じの『嘆きのピエタ』
文化村ル・シネマ他で公開中なので、
御興味ある方是非観に行ってみて下さい。

詳細はこちら。
http://www.u-picc.com/pieta/

2013年6月13日木曜日

ひと味違うカンフー映画。

先週、ウォン・カーウァイの新作『グランドマスター』を観てきました。
「カーウァイがカンフー映画かぁ」と最初はピンと来ないモノがありましたが、
やはりウォン・カーウァイ。

幾多のカンフー映画とはひと味もふた味も違った作品でした。
というより、カンフーをモチーフとしながら
しっかりとドラマを描いていたというか。
『ブエノスアイレス』を観た時も感じたけど、
センセーショナルなモチーフを使っても
それに終始するのではなく主軸は人間ドラマという気概を感じました。

あと、おなじみのスローモーションの映像も満喫出来ました。
カーウァイといえばスローシャッターでの撮影。
今回はカンフーがモチーフだけに際立ってたね。

それにしても、
ウォン・カーウァイって毎度同じ顔で写っているね。
『ブエノスアイレス』のパンフも持っているけど、
その時の写真と殆ど変わってないというか。
まぁ、いつもサングラスしているので容姿があまり解らないんだけど。
ある意味、ビジュアル系な映画監督ね。

とまぁ、冗談はさておき、
内容は南北に別れている中国武術界の時代に
北のトップが引退する事になり
南北それぞれに自分の後継者を任命するというところから始まり、
後継者争い、チャン・ツィー演じる北の武術界トップの娘ルオメイの復讐、
日中戦争によって翻弄されるシーンに
八極拳や詠春拳、八卦掌といった武術のアクションシーンが
上手くmixされていてました。

ブルース・リーが習っていたと言う事で詠春拳は知っていたし、
セガサターンというゲーム機で発売されていた「バーチャファイター」で
八極拳は知っていたけど、
実際に観るのは初めてだったのでその拳法を
これだけの規模の映画で観られるのは凄いことだなと。

カーウァイ映画を観る時、映像が凄く綺麗なので、
撮影監督は誰なんだろうというのは毎回気になるんだけど、
今回はフィリップ・ル・スールというフランス人が
担当しておりました。
全体的に硬質な感じがあり若干セピアっぽい色調で
これまでとは黒が締まった画造りだった。

ブルース・リーの師匠であるイップマンという
実在の人が主人公なのも今までのカーウァイ作品とは違うし、
美術、衣装、編集で毎回参加しているウィリアム・チャンも
これまた良い仕事をしているのでココも見所です。

御興味ある方、是非チェックして観て下さい。

http://grandmaster.gaga.ne.jp

2013年6月3日月曜日

1シーンだけ繰り返し観る。




最近、youtubeで何度もリピートしている映像。

レオス・カラックスのSF風フィルムノワール『汚れた血』の1シーン。
ドニ・ラヴァン演じるアレックスが恋に悩み、
その苦しみを吐き出す様に走るシーンである。

トランジスタラジオから聞こえるメロディアスな曲の次に
D・ボウイの「Modern Love」が流れ、それとシンクロする様に
アレックスが走り出す。
音の繋ぎとカットを割らずに1シーンで見せる
タバコを吸っているシーンとか、音楽の切れ方とか、
とにかく僕の感覚に引っかかってくる。

カット変わりが音と微妙にズレているのが何度も観ていると
とても心地良い。
「Modern Love」と疾走シーンがシンクロしている。
こういうのもAudio Visualって言えないかな。

日本でも今年、待望の新作『HOLY MORTORS』を公開して
健在ぶりをアピールしたけど、
『汚れた血』を撮った頃のカラックス作品は
単純なんだけど、ある種の暗さと若さが魅力的。

2013年6月2日日曜日

T2 Movie selection vol.247

ピアノチューナー・オブ・アースクエイク
THE PIANO TUNER OF EARTHQUAKES

監督:ザ・クエイ・ブラザーズ
アニメーション監督:ザ・クエイ・ブラザーズ
製作:キース・グリフィス, アサクサンダー・リス, ヘンガメ・パナヒ
製作総指揮:テリー・ギリアム, ポール・トライビッツ
脚本:ザ・クエイ・ブラザーズ, アラン・パス
撮影:ニック・ノウランド
プロダクションデザイン:ザ・クエイ・ブラザーズ
衣装デザイン:キャンディス・クック
編集:サイモン・ローリー
音楽:トレヴァー・ダンカン, クリストファー・スラスキー
出演:アミラ・カサール, ゴットフリード・ジョン, アサンプタ・セルナ, セザール・サラシュ, リュビシャ・ルポ=グルジュチック, マルク・ビシュショフ, ヘニング・ペカー, ジル・ガボア, フォルカー・ザック, トーマス・シュミーダー

やっぱりダークなアニメーションを観ないとクエイ兄弟の映画を見た気がしない。
期待を裏切らずシュールでダークなピアノ調教師の話。