2013年11月27日水曜日

プロっぽさと素人っぽさ

眠い眼を擦って六本木まで『JUDGE』という映画を観に行ってきました。
朝の上映、しかも9:15という開始時間で
こんなに朝早くから一体誰が行くのか?とその時間帯に興味が沸いたのと、
websiteで観たD・リンチのshortfilmばりの動物の被り物が気になって、
これは観ておいた方が良いなと思い、
上映時間も9:30、9:55と遅めの時間帯になってきたので、
(と言っても朝だけど)
ようやく起きれる時間になり、いざ鑑賞。
作品の内容より観に来る人の方が気になっていたけど、
早朝にもかかわらず『R100』より多かったし、内容も意外と面白かった。
朝しか上映してないからって侮ってはいけないね。

お話は、キリスト教の7つの大罪になぞらえた罪を背負った7人が、
ある密室に閉じ込められてしまい、そこから脱出を試みるという話。
制限時間の中で誰を裁くのか、7人がそれぞれの罪を知った上で
当事者達がお互いをジャッジしていく。

全編監視カメラの様な撮影という実験的なスタイルと
監視カメラっぽい映像のデザインが作品に硬質な感じをもたらしていた。
カメラが色んな場所に設置されているのでカット割りが細かく、
作品のテンポはキープされたまま話が展開していて飽きさせない造りになっていた。
閉鎖された空間ものって古くは「水の中のナイフ」とか、
15年くらい前になるけど「CUBE」とか、
現実世界と隔離された設定にしやすいから
造り手の創造力を垣間見ることが出来るので好きなジャンルです。
この作品も凄く好きな感じ。

一方で役者陣の演劇的な演技が気になった。
「こんな事、実際に言うのかな?」って気分になったというか。
パンフを見ると実際に監禁状態を体験して脚本を書いたらしいので、
そこからの体験が生きていると思うのだけど、
題材が舞台的な内容なのと、ワークショップを重ねた上で撮影に挑んだらしいので、
より芝居がかった演技になってしまったのかな?と思いました。
まぁ、ここは好みの問題だと思うけど。

監視カメラという設定なので撮影にズームを多用していたのは面白いのだけど、
それが中盤からシーンを説明するかの様なズームになってきて
「この監視カメラを扱っている人、ちょっとプロっぽくない?」という感じもした。
最後まで意味を持たせない感じのズームでも良かったのでは。

自分の仕事の事なんだけど、
以前、坂上忍さんの舞台の劇中映像を手がけた時に
テンポをキープさせる様な編集をしたら、
それがプロっぽい、素人が撮影した設定なのでもっと間延びさせて欲しいと
訂正になったコトがあったんだけど、その時の状況を思い出した。

業界で仕事をしていると少なからずプロらしさというのが染み付いてしまって、
それがカメラワークにも表れてしまう。
普通ならそれが正解なのだけど、
この作品では明らかに監視カメラを扱っている人が部屋の外側にいるわけで
その人がどんな人か(プロかどうか)を感じさせてはいけないんじゃないだろうか?
なんてコトを思った。
まぁ、その辺も映像の仕事に関わっているから気がついたことで、
一般の人なら解らないことだと思うけど。

テイストも分野も全然違うけど
佐々木誠監督の「マイノリティとセックスにおける2、3の事情」を観た時に
いかにも素人らしく撮っていたのを思い出し、
改めて主観カメラって奥深いなと思いました。

役柄、"憤怒"の設定を与えられた役者さん、薬に詳しい下りがあるんだけど、
妹が同じ病気になったという下りがあったとはいえ、
一般人にしては薬に詳し過ぎじゃない?なんて感じもした。
職業を医者とか薬剤師にして同僚に出世を阻まれて陥れたみたいな罪にして
"嫉妬"の設定にした方がしっくりくるんじゃないかとも思った。

あと、個人的な好みだけど、
被り物の内部にもカメラがあったので、最後まで被ってて欲しかったな。
まぁ、フェティッシュな感じになりかねないので、
作品の邪魔になると言われればそれまでなんだけど。
読んではいないのだけど原作がある作品らしいので、
それに倣った形なのかもね。

とまぁ、観ながら僕ならこうするとか、
ここ面白いなとか色々と楽しみながら観ることが出来る作品でした。
上映時間も77分と短いし朝の上映だし、
出勤前に営業先に行く前にこの作品どうでしょう?

ご興味ある方が是非朝の映画館を体感して観て下さい。
作品もドキドキ感はありますよ。
詳細はこちら。


P.S

ところで密室ものってどうして薄暗い部屋の設定が多いんだろう?

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